半導体工学でのエネルギーバンド図の成り立ち

バンド図の成り立ちを大学院の講義で聞いてなるほどと思ったのでメモ.

まず,Siに限らず原子単体において,原子核の周りを動く電子はあらゆるエネルギー帯を取り得る.しかし,その原子が集まって結晶となると,結晶中の原子核の相互作用等により,電子が持ち得るエネルギー帯はいくつかの帯状に限られる.また,その電子が持ち得るエネルギー帯は,電子の波数(運動量)によって変わる.電子が取り得るエネルギー帯と取り得ないエネルギー帯が帯状に広がっていることをバンド構造と呼ぶ.

半導体工学では,電子が取り得る最も高いエネルギー帯である価電子帯と電子が入っていない最も低いエネルギー帯である伝導帯の間の電子が取り得ないエネルギー帯をバンドギャップと呼び,波数kを無視して抜き出すことがある.それをバンド図と言う.半導体の分野では,価電子帯と伝導帯の間の電子の遷移を主に扱うことにより,何らかの機能を持つデバイスを作るため,電子が占有する一番上のバンドギャップだけ抜き出して,エネルギーバンド図と呼ぶ.

k空間なんて聞いたことので,バンド図が何を表しているのか全く分からなかったが,ようやくなんとなく分かった気がする.